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薄井萌々花さん (8lrkam82)2023/1/21 18:13 (No.676394)削除生まれたての自己を育む“ゆりかご”――中野民夫『ワークショップー新しい学びと創造の場―』(岩波新書,2001)評
「ワークショップとは「その中で安心して成長したり生まれ変わったりできるゆりかご」だ(p143,1行目)」。これは、この本を読み終えた私の中で、深く印象に残った一文である。この本では、ワークショップとは何か、ワークショップの実例や意義に関して述べられ後、ワークショップを社会の中でより応用していくための方法が提案されている。
著者である中野民夫さんは、株式会社博報堂に入社後、カリフォルニア統合学研究所で組織開発や組織変革を学び、ワークショップ企画プロデューサーとして勤務している。その中で知り得たワークショップの効果や、参加者の様子、ワークショップ内容が詳しく書かれている。
中でも、「第2部ワークショップの実際」が、とても面白いと感じた。「第2部ワークショップの実際」では、ジョアンナ・メイシーの「つながりを取り戻す」ワークショップと「自分という自然に出会う」という連続ワークショップの模様が書かれている。ジョアンナ・メイシーの「つながりを取り戻す」ワークショップでは、卓越したワークショップのリーダーであるメイシーのワークショップに、著者自身が参加した際の様子が詳しく書かれていて、メイシーのワークショップを、疑似体験したような感覚になった。「自分という自然に出会う」という連続ワークショップに関しては、日本で数日間にわたり行われたワークショップを紹介していて、自分だったらどのワークショップに参加したいか、そこで何を得られるか想像しながら読むことが、とても楽しく感じた。
私が誕生した2001年に、同じくこの世に誕生したこの本には、「「ワークショップ」という新しい学びと創造のスタイル(p1,2行目)」と書かれている。そこから20年以上経過した2023年現在、ワークショップや参加型学習は、学校教育でも取り入れられ、馴染み深いものになりつつある。至る所でワークショップが行われるようになった今だからこそ、この本を読んで、改めてワークショップの意義や効果を多くの人に知ってもらいたい。(826字)